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朱肉の親指〜中古品センター、地下一階

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「印鑑をお持ちでなければ、拇印でも承ります。」 国道沿いの中古品センターの地下に、予約制の名品館がある。店が確かめるのは身元だけ。印鑑を持っていなかった生命保険の営業・紀子は、朱肉に右手の親指を押した。地下一階の短い廊下には扉が二つあり、通されるのはいつも左の部屋だった。 やがて、あの店を教えてくれた客たちと次々と連絡が取れなくなる。契約書の住所を訪ねると、そこは誰も住んでいないアパートだった。埃のない一室の引き出しを開けると、指紋を刻んだシリコンの指が十本ずつ、八十一束集められていて...。 独りの客は右の扉へ、家族のいる客は左へ通される――名品館の規則が判明し、紀子は思い出す。営業所で「あそこの名品は安いらしい」と口を滑らせたとき、身寄りのない後輩がそれを聞いていたことを――。

著者
左右田 律左右田 律
タグ
#ヒトコワ#いわくつき#ゾッとする#孤独#身代わり#日常侵食#ダーク#背筋が凍る#サイコホラー#サスペンス#ホラー

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エピソード 30